【アニメ】
『はたらく細胞BLACK』榎木淳弥&日笠陽子、命懸けの声優業 過呼吸、寝不足も生涯続ける天職
人気コミック『はたらく細胞』のスピンオフ作品『はたらく細胞BLACK』(講談社「モーニング」連載)のTVアニメが、1月9日からTOKYO MXなどで放送されている。同時期には『はたらく細胞』のアニメ第2期もスタートし、1時間“はたらく細胞アワー”として注目を集めているが、ORICON NEWSは『~BLACK』の赤血球(AA2153)役の榎木淳弥、白血球(1196)役の日笠陽子にインタビューを敢行。収録現場で「過呼吸で倒れたことがある」と話す2人に、声優業への想いやスタンスを聞いた。
【画像10枚】体内はブラック環境? アニメ『はたらく細胞BLACK』の場面カット
『はたらく細胞』は、赤血球と白血球を中心とした体内細胞の知られざる活躍を描いた細胞擬人化作品。アニメ第1期が2018年7~9月に放送された。『~BLACK』は、不摂生やストレスの影響で、体内環境がBLACK化してしまった身体ではたらく細胞たちの過酷な労働環境を描く。
■魅力を感じた作品&キャラクター 見どころは“はたらく”意義
――細胞をテーマにした少し変わった作品ですが、原作やアニメを見た感想はいかがでしたか?
【日笠】 『はたらく細胞』も見させていただいたのですが、『はたらく細胞BLACK』は前作と全くイメージが違うと思いました。血だらけで画面が黒いと言いますか(笑)白血球は武器を持って「よく戦っているな~」という印象です。
私の声優人生を振り返ると戦う役を演じる機会が多いので、大体、鎧か剣を持っています。制服を着た役は、なぜか演じる機会が少ないという…(苦笑)なので、今回の白血球はとても馴染みやすくて、すぐに受け入れることができたキャラクターでした。
【榎木】 『はたらく細胞』は斬新な設定の作品で、きれいなイメージがありました。それが『はたらく細胞BLACK』になると、原作の絵も激しいタッチで、取り扱う病気も重めな、大人向けで、「こんなに差があるのか…」と驚きました。
実は僕と日笠さんは『はたらく細胞』のオーディションを落ちておりまして、まさか『はたらく細胞BLACK』で出演するとは思いませんでした(笑)共演するナレーションの津田健次郎さんも、僕らを見て「BLACK過ぎるだろ…」と言っていたので、僕ら2人には『BLACK』的な何かがあるのでしょうか?(照れ)
――それぞれ演じるキャラクターの魅力はどこに感じましたか?
【日笠】 白血球役なので体に侵入してきた細菌(敵)を倒していくのですが、性格は武士道らしい部分があるので、淡々と使命をこなすところに魅力を感じました。また、白血球のみなさん胸が大きくて「これは先生の趣味なのかな?」と思いました(笑)
【榎木】 演じる赤血球は新米なので、「頑張ろう!」というやる気が強いキャラクターです。そんな中で『BLACK』な環境で働くことになり、「働くって一体なんだろう…」「なんでここまでして働かなければいけないのか」と、働くことへのつらさを実感していきます。自問自答しながら成長していくところが見どころかなと思います。『はたらく細胞』は、働くことに対して「すてき!」みたいなキラキラした部分があったと思いますが、今作は働くことへの現実的な視点で描くので、共感する人が多いと思います。
■声優の現場は想像以上にBLACK? 役に向き合い「過呼吸」「寝不足」――放送前に発表されたPVで赤血球の「命を懸けてやる仕事なのか…」というセリフが印象的でした。お二人が声優活動において“命を懸ける”ほど力を入れたエピソードがあれば教えてください。
【日笠】 私は過呼吸で倒れたことがあります。結構生っぽい作り方で入り込んでしまう作品で、演じていたキャラクターが終盤に発狂しちゃうような感じのシーンだったこともありますが、私も入り込み過ぎちゃって。『ハアハア』言っていたら目の前がブラックになっていき倒れてしまい、気づいたらスタジオの会議室で『ハッ!』となったことがあります(笑)。気づいた後は『やれます』って戻り、やり直しました。
【榎木】 えっ!? その後にすぐ戻るというのはすごいですけど、みんな心配しますよね。
【日笠】 実は過呼吸になったことは2回あって、叫びすぎたりするとクラっとすることがあります。マネージャーには「よく倒れる」みたいな印象があるみたい(笑)。もしかしたら余力を残さず叫んじゃうみたいで、その後に息を吸うのが下手くそなのかもしれません。気をつけます…(赤面)。
――その真剣さや懸命さというのは、本作で演じている白血球の自分の使命に忠実というキャラクターにぴったりですね。
【榎木】 芝居だと難しいですよね。きっと、叫んで息を一気に吐いちゃうから吸い過ぎちゃうのでしょうね…。僕も多少クラっとすることはありますが、倒れるとかではなくて、だいたい寝不足になりがち(笑)。台本チェックに時間がかかるタイプなので、アニメ30分で自分が主役の場合、最低でも台本を2回読むのですが、それだけで3時間はかかります。
このセリフはどういう気持ちなんだろうと、気持ちを理解するためにひと言に30分くらいかけるときもあります。それで寝不足になって命を懸けている日も…。寝るのが午前4~5時になることもあるので、今は寝る時間がほしいです!
【日笠】 やば~い。まさに“BLACK”だね(笑)。
【榎木】 もちろん毎日じゃないです。もっと早くから始めればという感じですし、作業を分けてやればいいのにと思うけど一気にやっちゃう。自ら命を懸けにいっている感はありますね(笑)。
ですが、『~BLACK』のアフレコ中、物理的に胸が痛いと感じて「ガンなのでは……」と心配になり人間ドックに行ったら、逆流性食道炎がみつかって。ただそれ以外は、ちょっと胃が荒れていると言われたぐらいで、数値的な部分はすべて健康でした。不健康だと思っていたのは寝不足や外食中心の生活のせいだと思います(笑)。
【日笠】 「ガンかもしれない」と自分で言う人はだいたい違うことが多いし、そういうときに人間ドックに行くと健康ですよね。
私は基本、元気。20代の時は喉をちょっとでも痛めたらすぐ耳鼻科に行って…という感じでしたが、30手前ぐらいから気持ちが元気だったらすぐ治るという考え方になりました。「ダメだ、ダメだ」と思うと本当にダメになるけど「寝れば大丈夫だろう」と思えば大丈夫なように、意外と気の持ちようなのではと思うようになりました。睡眠は大切にしていて8時間以上は寝ます。きょうも10時間寝てきましたけど寝過ぎだよね(苦笑)。
■“はたらき”続けた声優業 人に恵まれた榎木淳弥&天職に出会った日笠陽子――『~BLACK』では細胞たちが体内環境を守るべく“はたらく”描写に見応えがありますが、お二人とも声優として多くの作品で活躍する姿がとても魅力的です。作品や役柄で求められることも変わると思いますが、仕事に臨む際に大切にしていることは何でしょうか。
【日笠】 新人の時とか特にそうでしたが、緊張していると自分のやりたいことや出したいものが出せなかったりしたことがありました。それを先輩たちがイジってほぐしてくれることで100%以上のものが出せたという経験を何回かしているので、現場はみんなが真剣に取り組みつつ楽しく感じることができれば、より良いものが作れるのではと思っています。仕事に限らず楽しい思い出の方が残るので、私は現場がいつも楽しくあってほしいですね。
【榎木】 大切ですよね。自分もそう思いますし、日笠さんの笑い声にはいつも助けられています。自分は、やりたいことを明確にしてやることです。仕事を続けていると、監督やお客さんが何を求めているのかというのがわかるようになってきました。そこが自分のやりたいことと一致していればいいのですが、もし自分のやりたい芝居じゃないと思ったら、まず自分の考えたようにやり、その結果要求されるものがあれば沿っていくというスタンスでやっています。自分の気持ちに向き合うことを大切にしています。
――今作で描かれているように赤血球や白血球は身体に欠かせない存在ですが、アニメ作品は声優の方がいないと成り立ちません。お二人がこれまで声優を続けられてきた“理由”を教えてください。
【日笠】 本当に飽き性で、小学生のころピアノや水泳、お花など習い事にたくさんトライしたのですが、だいたい体験で終わって続きませんでした。もっと言えば学校に行くという行為にも途中で飽きていたぐらい(笑)。『~BLACK』の現場ではキャラメルコーンにハマっていましたが、今は別のお菓子にハマっています。
ハマるとそれだけになっちゃうから続かないのかもしれませんが、声優という仕事は何かわからないけどずっと好きでずっと続けていられている。母も「あんな飽き性だった